現在、引きこもりの人の年齢が高くなっているということが問題になっています。
たとえば80代の親と住む50代の人。
この50代の人は、引きこもりで、親の年金と貯蓄で生活している。
そして離れたところに住んでいる兄弟がいたとします。
万が一親が亡くなった後、この50代の人は収入を失うわけです。
この場合に兄弟に扶養義務はあるのでしょうか。
1.家族間の扶養義務
民法877条1項では、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と定められています。
一見すると兄弟にも扶養義務があるように読めます。
ですが兄弟の扶養義務の解釈では、親が未成年の子供を扶養しなければならない、という強い扶養義務とは違うようです。
2.兄弟で扶養義務が発生するのは生活に余力がある場合のみ
兄弟の片方が無収入だとしても、もう片方の兄弟も生活に余裕がない、という場合は扶養義務は発生しないとされています。

自分の生活を犠牲にしてまで兄弟を扶養する義務はないのです
3.実際に扶養義務が発生しそうになったら
中高年の引きこもりは、就職して収入を得ることがむずかしいと考えられます。
ではそんな兄弟が「扶養しろ」と言って来た場合はどうすればよいのでしょうか。兄弟同士で話し合おうとしても、どうしても冷静に話すのはむずかしいです。
そこで、市役所の生活相談や、法律相談など、第三者にあいだにはいってもらうことが有効です。
第三者の意見を聞けば、引きこもりの人も自分でなんとかしなければという考えになるでしょう。
そこでハローワークで就職活動をしたりするなど、今まで親に依存していた生活から、自立への道をたどる必要があります。
私の経験になりますが、もう10年近く前のこと、詐欺的な情報商材にひっかかりました。
たいていのことはがまんするのですが、あまりにも内容がひどかったため、市役所の消費生活相談室へ相談することにしました。
アドバイスを受けて何度かやりとりをして、返金してもらいました。

自分一人では泣き寝入りするところだったでしょう
4.一時的に生活保護を受けるのもやむなし?
さて、引きこもりの人が自立するといっても、今まで親(他人)に依存してきたわけですから、就職にも腰が重いでしょう。
本当に生活に困窮したら、一時的に生活保護を受給しなければならない状態になるかもしれません。
しかし生活保護受給者に対しても、自立支援プログラムが用意されていますので、ゆくゆくは自立の道を切り開いていく必要があるでしょう。
5.引きこもりが障害者なら別
引きこもりの当事者が、精神障害者である場合は話は変わってきます。
このときは障害年金の受給にたよるということになります。
私は引きこもりです。精神障害者で、障害年金をもらっていますが、月8万円くらいです。
妻のパート収入と一緒にして生計をたてています。
生活に余裕があるとはいえません。
6.国の引きこもり対策
厚生労働省の資料によると、「日常生活自立」「社会生活自立(社会参加)」「経済的自立(就労支援)」と段階を追って本人の自立に向けた施策を提供しています。
平成21年度からは都道府県主体の「ひきこもり地域支援センター設置運営事業」を実施しているところです。
7.最後に
他人ならお金を無心してきても断れば済む話ですが、こと兄弟となると、どうしてもドライになることができないかもしれません。
そしてお金の話になるとこじれやすいといえます。
またあなたが弟の立場だとして、兄に意見をするというのもむずかしいでしょう。
そこで先ほど述べたように市役所の第三者に入ってもらうことが有効なわけです。
あるいは「ひきこもり地域支援センター」に行くことになるかもしれません。
兄弟が自立できる解決策が見つかるといいですね。
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