テレビや新聞のニュースで、「閣議決定」という言葉をよく聞きますよね。
2019年度予算案では閣議決定のやり直しが行なわれました。
今さら聞けない閣議決定の意味を、わかりやすく説明します。
1.閣議とは
まず閣議の意味です。「閣議」とは、内閣総理大臣と国務大臣によって構成されています。
「第4次安倍改造内閣」(2018年10月2日成立)では、国務大臣は19人います。
一つ前になる第4次安倍内閣からみると、留任が6人、かつて国務大臣だった者が入閣したのが1人、初入閣が12人という内訳になっています。
女性は内閣府特命担当大臣(男女共同参画担当)の片山さつき氏1名です。
2.閣議決定とは
「閣議決定」とは、全会一致で意見をとりまとめて決定することです。
法律案等は、国会で議決しなければ決定となりません。
閣議決定だけで法律が成立するわけではないのです。
しかし、閣議決定の議題は、「与党事前審査」が行なわれたものです。
このため、閣議決定を行ない、国会に提出された予算案や法案は事実上文句なしに決定されるということになります。
3.予算案はどのようにして作られる?
まず予算案のもととなるものをを作成するのは財務省です。これを財務省原案といいます。
財務省原案は毎年12月末にとりまとめられます。
各省庁が要求したものの、財務省原案に取り入れられなかったものは「復活折衝」という形で、一部が認められます。
そして財務省から内閣に予算原案が送られて、内閣が予算案を作成することになります。
これが閣議決定ですね。
内閣から国会に予算案が提出されると、まず衆議院で審議されることになります(予算先議権)。
法律案と違い、予算案は必ず衆議院から審議されなければなりません。
また予算案の審議では必ず公聴会を開かなければなりません。
4.2019年度予算案の修正
政府は、2019年1月18日、2019年度の予算案の修正案を閣議決定しました。
これは、「毎月勤労統計調査」が「不適切な手法」で行なわれていたことを受けたものです。
不正による予算案の修正は過去に例がないそうです。
5.毎月勤労統計調査の不適切な手法とはどういう問題か
ここで、毎月勤労統計調査の不適切な手法をみておきましょう。
毎月勤労統計調査とは、厚生労働省が都道府県を通じて行なう、賃金や労働時間に関する調査です。
従業員数500名以上の企業は全数調査が定められています。
しかし、東京都において、約1400事業所のうち3分の1だけを抽出して調査していました。
東京都にある事業所の賃金は高いため、この高い事業所を対象外とすることにより、全国での平均数値を低く抑えていたのです。

不適切調査は1996年から行なわれていたというじゃないか

不適切という意識すらないんですから、悪質ですね
6.不適切調査と予算案の修正
この不適切調査の結果、雇用保険の失業給付等が過少に行なわれた例は延べ約2000万人。
過少給付に対するための費用は約800億円。
この内訳は、過少給付約550億円、給付に必要なシステム改修費や人件費が200億円、その他運用していた場合に得られる加算額などとなっています。
この費用800億円は、「労働保険特別会計」でまかなうこととなっていますが、雇用保険の一部として一般会計から6億4000万円を支払うことになります。
このため、一般会計に追加支出の内容を盛り込んだ予算案の修正が行なわれたのです。
7.まとめ
以上、「閣議決定」の意味をわかりやすく説明するとともに、2019年度予算案の修正に至った経緯を説明してきました。普段接しているニュースも、自分で調べてみるとその内容がよくわかりますね。
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