日本の排他的経済水域に、中国船が侵入し、停船命令に従わず逃走したという事件が起こりました。排他的経済水域とは何か、領海との違いも含めてみてみます。
1.排他的経済水域とは
まず、排他的経済水域の定義から説明します。
排他的経済水域とは、沿岸から200海里(約370.4km)の範囲を指し、沿岸国には、この水域での鉱物資源の開発や、漁業などについて、経済的な優先権をもちます。
国連海洋法条約の規定により設けられています。
日本の領土は世界第60位にあたりますが、島しょがあるため、排他的経済水域の面積は世界第6位です。
出典:http://garden.accueil.ne.jp/
2.領海とは
領海とは、1977(昭和52)年に定められた「領海法」に基づいて決められているもので、沿岸から12海里(約22km)をいいます。
たとえば日本の主権は、日本の領海に対しても認められています。
このため、領海内で他国の船が漁業をすることは許されません。
一方で、外国船の無害通航権は認められています。
3.排他的経済水域が重なった場合には
では、国と国との間で、排他的経済水域が重なった場合はどうなるのでしょうか。
このときには、両国が交渉により境界を定めることが、国連海洋法条約で決められています。
しかし、実際には当事者国の間で決着がつかないことが多く、日本も、韓国、中国、台湾、ロシアとの間で問題となっています。

漁業権などで対立するので、問題になるわけだ

簡単には決着がつきませんね
4.排他的経済水域をめぐる問題
2018年の11月、日本の排他的経済水域内で中国船が漁業を行ないました。漁業主権法(1996(平成8)年施行)に基づき、排他的経済水域内での他国の漁業は禁止されています。
そこで、中国船に、水産庁の職員が乗り込んだところ、停船命令に従わず、逃走しました。
海上保安庁の巡視船の停船命令も無視したそうです。
それから水産庁職員は引き上げたとのニュースですが、いったいどうやって水産庁職員は中国船から脱出することができたのでしょう。
水産庁職員にけがなどはなかったとのことです。無事でなによりでした。
5.侵入は常態化
中国船侵入の話題で思い出されることは、2010年9月に起きた、尖閣諸島衝突事件です。
このときは中国船に対して警告を与えている様子が、映像として流れました。これは排他的経済水域ではなく、領海の問題でしたね。
よくよく調べてみると、日本の排他的経済水域内に、中国の漁船が侵入していることは常態化しているのです。
6.まとめ
以上、日本の排他的経済水域で起きている事案についてみてきました。漁業はもちろんのこと、海洋資源など、日本が抱える問題はいろいろあります。
そして、繰り返しになりますが、一朝一夕に解決できる問題でもありません。
今回は水産庁職員を乗せて逃走したということで、大きなニュースになったのでしょう。
簡単に解決する見込みもないでしょうが、日本がこのような問題を抱えているということは常に念頭に置いておく必要があります。
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