この記事では、自民党が検討していた「サマータイムの導入」を断念した、というニュースを受けて、そもそもサマータイムとはどういうものか、サマータイムのメリット・デメリットを、わかりやすく紹介します。
1.サマータイムをわかりやすく言うと
自民党は2018年10月31日、サマータイムの2020年までの導入を断念した、と報じられました。
2020年の東京オリンピックに向けて導入を検討していたものです。
さて、「サマータイム」とはどういう意味でしょうか。
「サマータイム」という言葉を知っていても、あなたは意味を人に説明できますか?
サマータイムとは、夏の間に時計を1時間進めることを意味します。
たとえば、実際の午前6時は、午前7時として扱われることになります。
では、世界的にみて、サマータイムを導入している国はどれくらいあるのでしょう?
答えは、約60か国です。アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、ブラジルなどがサマータイムを導入しています。
サマータイムの具体例として、アメリカの場合で説明します。
「3月の第2日曜日午前2時~11月の第1日曜日午前2時」がサマータイムとされていて、朝1時間早く起きる必要があります。
先ほどの時計の例でいえば、サマータイム開始の3月の第2日曜日、夜中に時計の針が1時間進むことになります。
そのため、今まで午前7時に起床していた人は、午前6時に起床する必要があります。
サマータイムが始まる前の夜に、時計の針を1時間早めておくわけです。
2.サマータイムのメリット
サマータイムのメリットは以下の3点があげられます。
2.個人消費の拡大
3.東京オリンピックの暑さ対策
順に説明していきます。
1.省エネ
2019年の夏至は6月22日です。
東京の2019年6月22日の日の出は4時26分、日の入りは19時00分です。
たとえば午後6時に照明をつける決まりがあったとします。しかしサマータイム実施中は、太陽はまだ午後5時の位置にあるので、明るいわけです。そこで照明をつけるのを午後7時にします。これが省エネ(照明の節約)です。
2.個人消費の拡大
就業時刻の終了が午後5時だとします。太陽の位置はまだ午後4時です。そこで、終業時刻の終了後、飲食店などに行ってお金を使う時間が増えます。これが個人消費の拡大です。
3.東京オリンピックの暑さ対策
2020年7月24日から8月9日まで、東京オリンピックが開催されます。
この時期の暑さ対策として、6月~8月限定でサマータイム導入の検討が行なわれていました。
たとえば、サマータイムで2時間時計の針を進めたとします。マラソンを午前5時スタートにできれば、太陽が高くなる前に競技を終了できます。これが暑さ対策です。
3.サマータイムのデメリット
続いて、サマータイムのデメリットについてあげていきます。
2.社会が混乱する
3.労働時間の増加
こちらも順にみていきましょう。
1.コンピューターシステムの問題
1年で2回、時計を調節しなければならないので、管理が大変になることが予測できます。
以前、コンピューターの「2000年問題」というものがありました。これは、1999年から2000年に変わるにあたって、システムにトラブルが発生しないか、担当者たちが待機を行なったものです。
2.社会が混乱する
野口悠紀雄さんが『「超」英語法』(講談社文庫)で述べていることです。
イギリスにいたとき、サマータイムが始まった朝、会議に出てみると、会議はもう進行中だったとのこと。周りの人は、前の夜、全然教えてくれなかったそうです。
このように、社会が混乱する可能性があります。
3.労働時間の増加
これは、明るい夕方の時間に残業を余儀なくされるという指摘です。ただでさえ長時間労働による過労死が問題になっているのに、それに拍車をかけるものだとされているのです。
4.自民党が2020年のサマータイム導入を断念した理由
自民党が2020年のサマータイム導入を断念した理由として、「国民の日常生活に大きな影響が生じる」ということがあげられています。
オリンピックの暑さ対策なら、オリンピックの競技時間を変更すれば済むことで、国民全般に影響を与える必要はありません。
ちなみに、日本でもサマータイムが導入された過去があることをご存じだったでしょうか。
戦後、GHQの指導により、1948年から51年まで3年間導入されていたのです。
導入後、廃止された理由は、「世論調査での反対意見が大きかった」ことです。
なお、ヨーロッパでもサマータイム廃止の動きがあります。
欧州連合(EU)で、夏に時計を1時間進めるサマータイム(夏時間)制度について廃止を検討する動きが出ている。EUの行政機能を担う欧州委員会のユンケル委員長が明らかにした。 ユンケル委員長によれば、サマータイム制度について大規模な調査を行ったところ、EU域内の80%以上が制度の廃止を希望したという。
CNNより引用
5.まとめ
私は導入断念に賛成します。
なんといっても社会的コストがかかりすぎる、また個人的にメリットが感じられない(夕方に外食するわけでもなく、むしろ体調への悪影響が心配)からです。
以上、自民党が「サマータイムの導入」を断念した、というニュースと、サマータイムの意味、メリット・デメリットを紹介してきました。
オリンピックの暑さ対策は確かに必要なことですから、十分に検討し実施するべきでしょう。
○今日の名言
時々は失敗することを覚悟できないなら、
チャンスもない。
(ウディ・アレン)
それでは最後に、「ありがとう」
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