この記事はうつ病の治療の本、『「うつ」を生かす』を読んだ感想について述べています。
うつ病の人ならきっと思い当たることがあるでしょう。
1.自動思考
うつ病の治療には、薬物療法だけではなく、「認知療法」というものがあります。
認知療法ではまず、「自動思考」というものに着目します。
朝ベッドから起き上がって仕事に出かける用意をしているうちに気持ちが沈み込んできた人の例を考えてみましょう。(略)「どうも頭がすっきりしない。これじゃあ、どうせ会社に行ってもきちんとした仕事はできやしない」という考えが浮かんでいました。
その時に浮かんでいた考えが自動思考です。(p7)
普通の人なら、朝目覚めたときに、多少気分が落ち着かなくても、いつもどおり会社へ行くことができるでしょう。「いちいちそんな気分で仕事をサボれるか。仕事は行くのが当たり前だ」と思いながら、仕事へ行く準備をします。そして難なく仕事に行くことができるのです。
しかし、うつ病の人は違います。
先に述べた「自動思考」のせいで、本当にベッドから起き上がれなくなり、仕事を休んでしまうのです。
当然、自分を責めることになります。
「なんでこんなことで仕事に行けないのだろう。自分はもう社会人失格だ」「もう、なにもかもがイヤになってしまった」と考えてしまうのです。
これは「うつ病」のサインです。このサインに気づけるかどうかが、早期治療につながってくるわけです。
「単に自分の努力が足りないだけだからではないか」などと考えがちですが、りっぱな病気であり、治療が必要だ、ということに気づくべきです。
2.私のうつ病発病当時の様子
私は異動で新しい職務についたときに、うつ病を発症しました。
それまでの私は、管理職試験にも合格し、着々と昇進していきました。どんなにハードスケジュールであっても、若さゆえ、乗り切ることができたのです。
今では考えられませんが、月150時間残業、などという職場もありました。それでも仕事に充実感を感じて、熱心に仕事に取り組んできました。
そしてさまざまな部署を経験したのち、管理職になりました。課長という職責に不安を感じながらも、なんとか乗り越えることができました。いい部下に恵まれていたのも大きな要因でしょう。
人事異動の季節。私は部長から内示を受けました。
「君には○○課長をやってもらう」
青天の霹靂でした。まさかそんな重責につくなんて。
後から考えると、その課長になることが、いわゆる「出世コース」に乗る道だったのです。
しかしその時の自分には、「果たしてこんな職務に対応できるのだろうか」と絶望的になったのです。
そして内科的症状。おなかが痛くなり、通勤途上で下痢をして、途中下車して駅のトイレに駆け込む、なんてこともしばしばでした。
3.自分の役割が変わった時がうつ病発症の危険性あり
例えば、会社の中で地位が上がったときに「うつ」状態になる「昇進うつ病」とか、子どもが成長して巣立った後に一種の虚脱感に悩む中年期の女性の「空の巣症候群」と言われる状態(略)この他にも、結婚や離婚、妊娠や出産、卒業、就職、転職、そして退職などがきっかけになって「うつ」になることもあります(p28)
もしあなたが、今うつ病を発症しているなら、思い当たる節があるでしょう。うつ病にはなんらかのきっかけがあるのです。
私の場合は人事異動による環境の変化が病気の引き金だったのでしょう。
私は「身体症状をともなううつ」だったので、体の症状から始まりました。
職場へ行こうとして電車に乗っても、途中で引き返してしまう、ということもありました。
どうしても体がいうことをきかないのです。本当につらい思いをしました。
当時はまさか15年間も病気にかかるとは、これっぽっちも思っていませんでした。
よく「うつ病」から回復した人の話を聞きます。
薬物療法などにより、再び社会に適応できるようになって、病気が治るようです。
4.まとめ
薬物療法と合わせて行なわれるのが「認知療法」です。しかしこれは、病院でやってくれるところはほとんどありません。1回の実施に1時間程度かかるからです。
今の私は「3分診療」です。
この『「うつ」を生かす』という本は、心療内科に通っていたときに、医師の先生から勧められたものです。本を紹介してくれるなんて、珍しい先生ですよね。男性の先生でしたが、患者のことを真剣に考えてくれる、とても頼りになる方でした。
「認知療法」の話は、次回に続きます。
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関連記事>認知療法が実施できる場所『「うつ」を生かす』を読んでみた(2)
関連記事>認知療法のアプリを発見! 『「うつ」を生かす』を読んでみた(3)
○今日の名言
「朝に人としての道を悟ることができれば、
その晩に死んでも悔いはない」
という事こそが人の道である。
人としての努力をすることもなく、
ただ死に向かうのは人の道ではない。
(高杉晋作)
それでは最後に、「ありがとう」
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